臓器移植

肝がんクラスター

肝がんで長期生存を得るために必要なことは、「肝臓の予備能力を温存しながら、あらゆる治療手段を組み合わせて、最適な時期に最適な治療を行うこと(集学的治療)」です。
当科において、特にこだわりを持って取り組んでいる肝がんの治療についてご紹介いたします。

■肝がん治療は総合力が勝負


肝がんは、その他のがんとは異なる2つの特徴があります。①治療後の再発率が高い、②再発する度に繰り返し治療が必要となることです。例えば、一度手術によってがんを完全に取り除いたとしても、2年以内に再発をしてしまう患者さんの割合は半分以上にも及びます。その度に、繰り返し治療が必要になります。そのため、肝細胞がんに対する治療は、非常に多岐に渡っており多くの診療科が関わる集学的な治療としての考え方が必須となります。当院では、効果的に集学的治療を行うため「肝がんクラスター」を導入しております。


1.肝がんクラスターとは?

Photo_肝がんクラスター_No.1 クラスター(Cluster)とは、英語で集合体を意味します。肝がんの治療は非常に多岐に渡っており、それぞれの治療を行う診療科が異なります。
当院では、外科医のみならず放射線科医(診断・治療)、肝臓内科医、臨床腫瘍内科医の5診療科の医師が集まり、合同の肝がんクラスターカンファレンスを行い治療方針について議論を重ねております。病院によっては、患者さんが初めに受診した科によって、その科が得意とする治療方法に偏ってしまうことがありますが、当院では肝がんクラスターカンファレンスを通して、一人ひとりの患者さんに対し、常に最適な治療を選択することができるよう、バランスのとれた医療を心がけています。早期に見つけ、やさしく治療することが大切です。


2.肝がん治療の内容とは?

Photo_肝がんクラスター_No.2 当院では、診療科を越え様々な角度から治療を行っております。代表的な肝がん治療をご紹介いたします。

① 一般・消化器外科:外科的治療(肝切除、肝移植)
② 放射線診断科・消化器内科:穿刺局所治療
 (ラジオ波焼灼療法,エタノール注入療法,凍結療)
③ 放射線診断科: カテーテルを用いた治療
 (肝動脈化学塞栓療法、肝動注化学療法)
④ 放射線治療科: 放射線治療(体幹部定位放射線治療)
⑤ 一般・消化器外科・消化器内科・臨床腫瘍内科:
  全身化学療法


■より高度な手術を、より負担の少ない方法で


しかしながら、肝がん治療の基本は外科的な根治手術です。当科では、適応を慎重に吟味した上で、術前ナビゲーションを用いた腹腔鏡下肝切除術を積極的に導入しています。従来の開腹手術よりも低侵襲で、患者さんへの負担が少なく、またより無駄のない正確な手術で肝臓の予備能を温存しながらも、根治性を高めることのできる手術治療を確立しています。そうすることで手術適応の幅を広げ、肝がん治療の幅も大きく広げることが可能となります。


Photo_肝がんクラスター_No.3

Photo_肝がんクラスター_No.4


■高度進行肝がんに対する取り組み


当院では、高度進行肝がんに対する治療にも積極的に取り組んでいます。高度進行肝がんとは、腫瘍の大きさが3cm以上、腫瘍の個数が4個以上、脈管侵襲を伴う肝がんのいずれかを指します。肝がんクラスターカンファレンスで治療方針を決めることを大前提としており、様々な診療科の専門医師らが、その科の治療法の有効な点を駆使し、適切な時期に適切な治療を組み合わせて行うことで、高度進行肝がんの治療に臨んでいます。
当科独自の試みとして、明らかな脈管侵襲を伴う症例に対しては、可能な限り手術にて取りきるための術式を確率し、その後は補助化学療法を併用することで、術後の再発を予防する試みを行っています※1。また、肝臓全体に腫瘍が存在し、悪性度が高く進行も非常に早いと予想される症例に対しては、速やかに肝動注化学療法を導入し、腫瘍の増殖スピードを抑え、次の治療へ繋げます※2。


※1 阿部雄太, 高野公徳, 菊池哲, 今野理, 島津元秀. T4の肝癌?臓器別特性と治療戦略. 臨外 66(2):161~170, 2011
※2 臨床研究:手術不能進行・再発肝細胞がんに対する高用量CDDP (IA-call)/フルオロウラシル (5-FU)動注化学療法の検討

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