◇ 今井 俊一
名 前: | 今井 俊一(いまい しゅんいち) |
出身大学: | 慶應義塾大学(2010年卒業) |
高度技能専門医取得年: | 2022年(医師13年目) |
勤 務: | 練馬総合病院 |
卒後3年目、4年目に市中病院で外科の基礎の指導を受け、この時に指導を受けた肝胆膵・移植班の先生方との出会いが、のちに私が肝胆膵外科医を志す決め手となりました。市中病院の外科医として、肝胆膵領域に限らず、胃切除、大腸切除、鼠径ヘルニア、胆嚢摘出術など様々な外科手術を執刀し、細かい手技一つひとつにこだわりを持っていました。この時期は多くの外科手術の第一選択が開腹手術から腹腔鏡手術に切り替わる「過渡期」でしたが、いち早く取り入れた腹腔鏡手術をトップレベルで執刀されていました。手術が上手な外科医に憧れ、モチベーションが高まるのは当然のことです。さらにこれらの先生方は上部・下部消化管内視鏡検査や、ERCPも自分で行っていました。あらゆる外科疾患に、様々なスキルで応じる姿を目の当たりにし、迷うことなく肝胆膵・移植班に入りました。
卒後5年目から3年間の慶應義塾大学病院での研修では、それまで経験したことのない「一期一会」の高難度症例を、これまた経験したことのないほど細部まで把握して手術に臨みました。解像度の高い外科診療に主体的に携わったことで画像の読み込みや解剖の理解が格段に高まり、加えてこれをシェーマにするというスキルをここで身につけました。難しく繊細な術後管理も経験し、スタッフの先生方に指導を受けながら日々学び続けました。そしてこの時期の活動は臨床に限らず、研究や学術活動などの多岐にわたります。その全てを「慶應外科」の名の下に取り組むことで、言動や診療行為の一つひとつにも自然と責任感が生まれました。
卒後8年目からポストチーフとして国際医療福祉大学市川・三田病院で勤務を行い、自分が責任者の立場で診療を行う難しさと喜びを経験しました。続く卒後11年目からの2年間、済生会横浜市東部病院で専門医取得に向けた集中的な修練の機会をいただき、卒後13年目に1回目の挑戦で専門医を取得することができました。「次は自分の番だ」という決意のもと、未熟であった「術者」としての主体性を身につけることを中心に修練に臨みましたが、この2年間本当に辛抱強く様々なご指導いただきました。今、この場を借りて厚く御礼を申し上げます。
手術が圧倒的に上手く、専門医合格が後からついてくるような外科医もいるかもしれませんが、私の場合はかなり「対策」をしました。過去の合格ビデオを繰り返し確認し、膵頭十二指腸切除では行程を非常に細かく「定型化」して完全に同じ手術ができるようにしました。結果的に手術が安定し、現在にも続く自分の「定型化した膵頭十二指腸切除」のほとんどをここで組み立てることができました。また、修練においては「慶應肝胆膵外科高度技能専門医修練施設定例会」が大きな役割を担いました。この会は、大学病院を含めた各関連病院で専門医取得に取り組む修練医一人ひとりの修練状況を共有するグループ全体での取り組みであり、緊張感やモチベーションを高く保つ上で、他にはない画期的な取り組みだと思います。
現在は一人の肝胆膵外科医として市中病院での地域の診療を担っております。フレッシュマンの時の自分をmotivateしてくれた先輩医師のようになれているのかは分かりませんが、当時から現在に至るまで慶應外科、肝胆膵・移植班に育てていただいたこと、そこには常に素晴らしい指導医の先生方がいらっしゃったことを改めて実感しています。このグループの外科医になってよかったと心から感じていますし、将来私たちの仲間に加わって大活躍する若手の先生が一人でも増えることを願っています。
◇ 東 尚伸
名 前: | 東 尚伸(ひがし ひさのぶ) |
出身大学: | 慶應義塾大学医学部(2011年卒業) |
高度技能専門医取得年: | 2023年(医師13年目) |
勤 務: | 独立行政法人国立病院機構 埼玉病院 |
私が医師を志した理由は、「困っている人がいたら助けられる人になりたい」という理由でした。学生時代を通じて手術という治療法に魅力を感じ、患者さんの最期まで寄り添え、さらに幅広い疾患を網羅できる一般・消化器外科に魅力を感じ入局させていただきました。入局後は最初の2年間に市中病院へ出張するのですが、出張先のどの病院でも当時は最先端だった進行癌への腹腔鏡手術を導入するなどの専門性の高い手術を行う一方、一般的な手術や他科領域まで踏み込んだ手術をいずれも軽々とこなし、さらに人格者として誰からも頼りにされている先生方に出会うことができ、憧れと目標を抱きました。そのような先生方に外科医としての基礎中の基礎を教えていただけたことは今でもとても幸せなことだったのだと思います。そして特に守備範囲が広く、同時に専門性が高い手術ができる肝胆膵領域が最も自分の医師の志望理由に合致すると感じ、肝胆膵・移植班に入ろうと決意しました。
肝胆膵・移植班に入ったのち、大学でのレジデント・チーフレジデントの経験から市中病院とは全く異なる目線を得ることができました。それまでは一臨床医として目の前にいる患者さんを助けることにいっぱいいっぱいでした。しかし大学では未来の患者さんへどのようなエビデンスを創出できるか、という目線も重要であることを学び、今まさに今後の医学の歴史が作られていくアカデミアの最前線を見ることができました。
私は外科領域の基礎研究に興味があったこともあり、八木洋先生のご指導のもと人工肝臓の作成・移植に関する研究に従事することで学位を取得しました。昨今は基礎の研究室に出向しなければ基礎研究が難しいところも多い中で、外科学教室内で研究が行える環境が整っていたことも肝胆膵移植班の長所だったのではないかと思います。
大学でのレジデント生活を終えたのち、いよいよ一人前の外科医として働くことを求められるようになります。同期を含め同じ班の人間とは離れ離れになる中で、1人の医師として何を成すのか、と考えた時、私は現在、独立行政法人国立病院機構 埼玉病院の現副院長でいらっしゃる早津成夫先生の在り方に強く影響を受けたのだと思います。
元々市中病院に出向している際に憧れた先生の1人であり、病院の様々な人から頼りにされるためには外科医としての実力をつけることが大前提と学び、それを達成するために肝胆膵高度技能専門医を目標に定めることは自然な流れでした。
肝胆膵・移植班では定期的に「慶應肝胆膵外科高度技能専門医修練施設定例会」を開いており、合格に向けた環境は非常に整っていました。その甲斐もあり、埼玉病院に出向した年(卒後11年目)に撮影した膵頭十二指腸切除術のビデオが合格し、卒後13年目に高度技能専門医を取得することができました。埼玉病院では私の前任である先生も合格しており、市中病院で安定して合格者が出ていることは肝胆膵・移植班における大きな特徴ではないかと思います。
医師として、外科医として、肝胆膵外科医として生きていく中で、自分がどのように生きていきたいか。その選択肢を幅広く提示することができる強さが慶應義塾大学 外科学教室 肝胆膵・移植班ではないかと思います。この文章を読んでいただいている皆さんにとって、私の経験を記したこの文章が少しでも助けになれば幸いです。
◇ 中野 容
名 前: | 中野 容(なかの ゆたか) |
出身大学: | 岡山大学医学部医学科(2011年卒業) |
高度技能専門医取得年: | 2020年(医師10年目) |
勤 務: | 慶應義塾大学病院 |
私は、慶應義塾大学出身ではないのですが、出身が東京であること、またご縁があり、初期臨床研修終了後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局いたしました。その後慶應のカリキュラムに従い、2年間市中病院に出張し、数多くの手術を経験させていただきました。ヘルニア、虫垂炎、痔核、下肢静脈瘤の手術から始まり、胃、大腸の手術をたくさん執刀させていただき、その当時毎日が充実し、先輩方から叱咤激励されながら、日々成長していたのだと思います。手術が中心であった生活の中で、より多くの肝胆膵移植班の先生方に出会いました。その先生方は肝胆膵疾患のみならず、すべての消化器疾患の手術も執刀されており、当時の私にはどんな手術もできる、いわゆるGeneralistとして憧れの存在である一方、肝臓、膵臓、胆道に関してより専門の知識を有するSpecialistとしての一面もあることを知り、そのような先輩方にあこがれて肝胆膵移植班に入ろうと思いました。
私は現在慶應義塾大学病院の肝胆膵・移植班のスタッフとして勤務しておりますが、いま振り返ると慶應義塾大学病院での研修は、肝胆膵外科医としての土台作りに最適であり、一人前の肝胆膵外科医になるために必要なカリキュラムが組まれていると考えます。
具体的には、レジデント1年目には、チーフレジデントとタッグを組んで、病棟管理を担当します。市中病院では経験できないような肝胆膵高難度手術、さらに生体もしくは脳死肝移植の術後を担当します。臨床業務ばかりではなく、様々な疾患のデータベースを作成し、統計解析を行い、全国学会に応募していきます。レジデント2年目には、病棟業務から離れ、基礎もしくは臨床研究を行います。基礎実験を行い、学位の取得を目指すこともできますし、臨床研究に従事したり、消化器内科の先生方にERCPを教わることも可能です。また、病棟業務がないかわりに、スタッフの外来の補助を行い、患者さんの術前評価、または化学療法含めた術後の診療を担います。大学院に入学するかどうかで研修する期間は異なりますが、最終的には、チーフレジデントとして、病棟責任者として再度病棟にもどり、実際に手術の第一助手、または肝切除、膵切除などの手術を執刀します。チーフレジデントの主な仕事は、術前もしくは術後カンファレンスでのプレゼンの準備、スケッチ含めた資料作成、レジデントとともにチームの患者さんを守り、早期退院を目指します。また、いままで行ってきた臨床研究の英語論文作成、または基礎実験のまとめなども行い、当院でのレジデント生活の集大成となります。チーフレジデントが終了するまでに、基礎実験の結果を論文にして学位を取得する先生もいます。
上記の通り、慶應でのレジデント生活を通して、術前診断、術前リスク評価含めた周術期管理、術後管理、外来での診療すべて経験することができます。
上記のようなレジデント生活を送ったあと、いよいよ一人の肝胆膵外科医として歩きはじめます。実際にたくさんの肝胆膵疾患の症例に対して主治医として執刀していきます。不思議なことに、今までたくさんの手術を見て学んできたことで、自然と手が動きます。大学病院で学んできたことがここまで活かされるのか、そんな感想を抱いたことをいまでも覚えています。関連病院の中には、肝胆膵外科医が不足している病院もあります。そのような環境の中で、一人の肝胆膵外科医として地域の診療を担えるまでに成長していきます。もちろん肝胆膵疾患のSpecialistとしてだけではなく、様々な消化器疾患を診療するGeneralistとして活躍することも可能です。慶應義塾大学、一般・消化器外科のよいところは、それぞれのニーズに合わせて柔軟に対応できるところだと思います。
若手の肝胆膵外科医であれば、一つの目標になるのが、高度技能専門医取得です。私もその一人でした。幸いにも医師9年目(大学病院でのレジデント卒業後2年目)の秋に撮影した膵頭十二指腸切除術のビデオが合格し、10年目という若さで高度技能専門医を合格することができました。これは私一人だけの力ではなく、慶應義塾大学病院、そして関連病院の先生方のおかげですし、整った慶應義塾大学病院の研修カリキュラムの賜物だと思います。また現在関連病院の先生方に協力していただき、定期的に「慶應肝胆膵外科高度技能専門医修練施設定例会」を開催しており、どのようにしたら多くの高度技能医を輩出できるのか、各修練施設、修練医のアンケートを用いて、みなで協議することで、慶應グループ全体で積極的に取り組んでおります。
現在私は医師10年目です。まだまだ未熟であり、様々な肝胆膵疾患の診療を勉強しているところです。慶應義塾大学病院のよいところは、肝移植も積極的に行っており、かつ一般・消化器外科の中に血管班という血管のSpecialistがいるため、肝移植のときも一緒に手術を行うことで、血管吻合の勉強もできるところです。手術で差が出る分野、その代表が肝胆膵・移植班だと思います。一緒に慶應義塾大学病院で肝胆膵移植班としてトレーニングしてみませんか。なにかご質問などありましたら、下記フォームからお問い合わせください。
慶應義塾大学で研修すれば術前スケッチも上手に描けるようになります。班内には手術スケッチに対する教育的な先輩もいます。 (“若手肝胆膵外科医のための手術イラスト”参照)
最近では、大学でしか経験できないような症例を担当させていただいています。 大変ありがたいことです。これからもがんばります。
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