名 前: | 中野 容(なかの ゆたか) |
出身大学: | 岡山大学医学部医学科(2011年卒業) |
高度技能専門医取得年: | 2020年(医師10年目) |
勤 務: | 慶應義塾大学病院 |
私は、慶應義塾大学出身ではないのですが、出身が東京であること、またご縁があり、初期臨床研修終了後に慶應義塾大学医学部外科学教室に入局いたしました。その後慶應のカリキュラムに従い、2年間市中病院に出張し、数多くの手術を経験させていただきました。ヘルニア、虫垂炎、痔核、下肢静脈瘤の手術から始まり、胃、大腸の手術をたくさん執刀させていただき、その当時毎日が充実し、先輩方から叱咤激励されながら、日々成長していたのだと思います。手術が中心であった生活の中で、より多くの肝胆膵移植班の先生方に出会いました。その先生方は肝胆膵疾患のみならず、すべての消化器疾患の手術も執刀されており、当時の私にはどんな手術もできる、いわゆるGeneralistとして憧れの存在である一方、肝臓、膵臓、胆道に関してより専門の知識を有するSpecialistとしての一面もあることを知り、そのような先輩方にあこがれて肝胆膵移植班に入ろうと思いました。
私は現在慶應義塾大学病院の肝胆膵・移植班のスタッフとして勤務しておりますが、いま振り返ると慶應義塾大学病院での研修は、肝胆膵外科医としての土台作りに最適であり、一人前の肝胆膵外科医になるために必要なカリキュラムが組まれていると考えます。
具体的には、レジデント1年目には、チーフレジデントとタッグを組んで、病棟管理を担当します。市中病院では経験できないような肝胆膵高難度手術、さらに生体もしくは脳死肝移植の術後を担当します。臨床業務ばかりではなく、様々な疾患のデータベースを作成し、統計解析を行い、全国学会に応募していきます。レジデント2年目には、病棟業務から離れ、基礎もしくは臨床研究を行います。基礎実験を行い、学位の取得を目指すこともできますし、臨床研究に従事したり、消化器内科の先生方にERCPを教わることも可能です。また、病棟業務がないかわりに、スタッフの外来の補助を行い、患者さんの術前評価、または化学療法含めた術後の診療を担います。大学院に入学するかどうかで研修する期間は異なりますが、最終的には、チーフレジデントとして、病棟責任者として再度病棟にもどり、実際に手術の第一助手、または肝切除、膵切除などの手術を執刀します。チーフレジデントの主な仕事は、術前もしくは術後カンファレンスでのプレゼンの準備、スケッチ含めた資料作成、レジデントとともにチームの患者さんを守り、早期退院を目指します。また、いままで行ってきた臨床研究の英語論文作成、または基礎実験のまとめなども行い、当院でのレジデント生活の集大成となります。チーフレジデントが終了するまでに、基礎実験の結果を論文にして学位を取得する先生もいます。
上記の通り、慶應でのレジデント生活を通して、術前診断、術前リスク評価含めた周術期管理、術後管理、外来での診療すべて経験することができます。
上記のようなレジデント生活を送ったあと、いよいよ一人の肝胆膵外科医として歩きはじめます。実際にたくさんの肝胆膵疾患の症例に対して主治医として執刀していきます。不思議なことに、今までたくさんの手術を見て学んできたことで、自然と手が動きます。大学病院で学んできたことがここまで活かされるのか、そんな感想を抱いたことをいまでも覚えています。関連病院の中には、肝胆膵外科医が不足している病院もあります。そのような環境の中で、一人の肝胆膵外科医として地域の診療を担えるまでに成長していきます。もちろん肝胆膵疾患のSpecialistとしてだけではなく、様々な消化器疾患を診療するGeneralistとして活躍することも可能です。慶應義塾大学、一般・消化器外科のよいところは、それぞれのニーズに合わせて柔軟に対応できるところだと思います。
若手の肝胆膵外科医であれば、一つの目標になるのが、高度技能専門医取得です。私もその一人でした。幸いにも医師9年目(大学病院でのレジデント卒業後2年目)の秋に撮影した膵頭十二指腸切除術のビデオが合格し、10年目という若さで高度技能専門医を合格することができました。これは私一人だけの力ではなく、慶應義塾大学病院、そして関連病院の先生方のおかげですし、整った慶應義塾大学病院の研修カリキュラムの賜物だと思います。また現在関連病院の先生方に協力していただき、定期的に「慶應肝胆膵外科高度技能専門医修練施設定例会」を開催しており、どのようにしたら多くの高度技能医を輩出できるのか、各修練施設、修練医のアンケートを用いて、みなで協議することで、慶應グループ全体で積極的に取り組んでおります。
現在私は医師10年目です。まだまだ未熟であり、様々な肝胆膵疾患の診療を勉強しているところです。慶應義塾大学病院のよいところは、肝移植も積極的に行っており、かつ一般・消化器外科の中に血管班という血管のSpecialistがいるため、肝移植のときも一緒に手術を行うことで、血管吻合の勉強もできるところです。手術で差が出る分野、その代表が肝胆膵・移植班だと思います。一緒に慶應義塾大学病院で肝胆膵移植班としてトレーニングしてみませんか。なにかご質問などありましたら、下記フォームからお問い合わせください。
慶應義塾大学で研修すれば術前スケッチも上手に描けるようになります。班内には手術スケッチに対する教育的な先輩もいます。 (“若手肝胆膵外科医のための手術イラスト”参照)
最近では、大学でしか経験できないような症例を担当させていただいています。 大変ありがたいことです。これからもがんばります。
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