「おなかに大きな腫瘍があるが大事な血管や周りの臓器に広がっていて手術ができない」と別の病院で告げられた場合であっても、通常の癌の手術を超えた特殊な手技を組み合わせることで安全に病変を切除できる場合があります。
いわゆる「難治がん」に対して、当科では一貫して治癒可能性を探求してきました。従来通りの単独の科では治療戦略を組み立てられず、「切除不能」と判断された症例に対して、我々は腫瘍外科と移植外科の治療原則を組み合わせた”Transplant Oncology”という概念を確立した上で、腫瘍センターを通じて関連各科(腫瘍内科・整形外科・泌尿器科・婦人科・心臓外科・放射線科など)と緊密な連携をとり、患者さんの個別の状況に応じた最上の選択肢を協議する体制をとっています。
いくつか例を示します。
1) | 再発した脂肪肉腫が広範に進展し、膵頭十二指腸、右半結腸、右腎、大血管、腸腰筋合併切除を要した症例 (一般・消化器外科+整形外科:図1) |
2) | 膵神経内分泌腫瘍の再発で門脈~上腸間膜静脈内に腫瘍栓が生じた症例 (一般・消化器外科:図2) |
3) | 腎細胞癌/子宮筋腫が下大静脈~右房内腫瘍栓を伴う症例 (泌尿器科/婦人科+一般・消化器外科+心臓血管外科) |
このような「超拡大手術」を行うにあたっては、「腫瘍の悪性度」と「技術的な難度」の両方を詳細に検討した上で、手術を受けることの危険性と意義のバランスが取れていることが最も大切です。切除が難しい場合であっても、化学療法や放射線治療を組み合わせることで症状の緩和、生命予後の延長につながることもあります。一度ご相談ください。
肝胆膵・移植班
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